PRP-FD療法
PRP療法とは
PRP療法とは、自分の血液を採取し、血小板を抽出・濃縮したものを関節などへ注射することによって、自己修復能を促し、痛みや関節機能の改善が期待できる治療法です。
海外では10年以上前から、整形外科やスポーツ医学などで治療研究が進められており、米国のプロ野球選手が右肘靱帯を損傷した際に受けた治療法として話題となりました。現在、日本でも大学病院など多くの医療機関で臨床実績が積まれています。
当院では主に変形性膝関節症の 病期分類 グレードⅠ~Ⅱの患者さんに対して、PRP療法を行っております。
グレードⅠ~Ⅱの患者さんでは、炎症性酵素が過剰に産生されることが痛みの要因となります。PRPはその痛みの要因である血液中の炎症性酵素を減少させることが証明されており、PRPを患部に注射することで、痛みを軽減し、日常生活動作を改善させる治療効果が期待できます。
一方、グレードⅢ~Ⅳの患者さんに対して、PRP療法は基本的に施行しておりません。PRPでは痛んだ関節の硝子軟骨を再生することはできないからです。そのため、保存療法や外科的療法をお勧めしております。
PRPとは
PRP(Platelet Rich Plasma 多血小板血漿)とは、血小板を多く含む血漿のことです。
血小板には一般的に知られている止血作用の他、成長因子を放出し、損傷組織の修復を促す作用があります。この成長因子には、腱・靭帯・軟骨などの運動器組織の再生に重要な役割があると考えられています。
血小板に含まれる成長因子の主な働き
①抗炎症作用(炎症を抑える働き)
②修復促進(自己修復に必要な細胞増殖を促進)
③コラーゲン産生促進(骨や血管を作る為に欠かせないコラーゲンの産生を促進)
血小板に含まれる成長因子
PRP-FD療法とは
PRP-FDとは、特殊な技術でPRPを活性化し、濃縮して凍結乾燥(freeze dry)化したものです。このPRP‐FDには、損傷組織の修復を促す成長因子が一般的なPRPの約2倍以上含まれています。また、無細胞化しているため、注射後の反応痛は少なくなると考えられます。
変形性膝関節症でお悩みの方
関節炎と診断されて、様々な治療を試している方
階段の上り下りで膝に負担がかかる方
膝に違和感があり、同じ治療法を続けても効果が得られない方
スポーツで関節を痛めた方
手術に抵抗感がある方
変性疾患
- 変形性関節症(軟骨がすり減ることで生じる関節の痛み)
炎症性疾患
- 上腕骨外側上顆炎(テニスなどでよく起こる肘の外側の痛み)
- 上腕骨内側上顆炎(ゴルフなどでよく起こる肘の内側の痛み)
- 膝蓋腱炎(運動中、運動後などのひざの前面の痛み)
- 膝窩筋腱炎(動作時のひざ後面の痛み)
- アキレス腱付着部炎(長時間歩く、走ることになどよる踵背側の痛み)
- 足底筋膜炎(歩き始め、長時間歩行などによる足の裏の痛み)
- 腱鞘炎(反復動作に伴う手首・足首周辺の痛み)
外傷
- 靭帯損傷(ひざ、ひじなどで起こる外傷)
- 肉離れ(筋断裂)
治療の流れ
医師の診察
医師が診察を行い、PRP-FD療法についてご説明いたします。
採血
自己血約50mlを採取し、再生医療センターに送り、検査・加工します。
3週間後
注射
PRP-FDを注射します。
Q&A
・入院の必要はありますか。採血と注射のみとなるため、入院の必要はありません。
早ければ治療をおこなってから、おおよそ1か月程度で効果を実感することができます。
患者さんの血小板活性や関節変形の度合いにより、効果には個人差があると考えられています。
患者さんご自身の血小板から抽出した成分を注入するので、重い副作用はないと考えられています。患者さんによっては、注射による一般的な副作用(痛み、赤み、腫れなど)が起こる可能性があります。
自由診療となります。
料金
(税込)
診察料 | 3,500円 |
PRP | 165,000円 |
金子 卓男Kaneko Takao
認定資格
- 日本整形外科学会専門医
- 日本体育協会公認スポーツドクター
- 日本人工関節学会認定医
略歴
- 1990年
- 山形大学工学部入学
- 1999年
- 東邦大学医学部卒業
- 2003年
- 東邦大学医学部 研究生(整形外科学講座)
- 2006年
- 慶応義塾大学医学部整形外科学講座へ出向
- 2008年
-
東邦大学医学部 助教(整形外科学講座)
東邦大学医療センター大橋病院整形外科 医局長 - 2013年
- 東邦大学医学部 専任講師(整形外科学講座)
- 2020年
- 東邦大学医学部 准教授(整形外科学講座)
学会の役職
- 日本人工関節学会 評議員
- JOSKAS 評議員
- 日本整形外科学会 選挙管理委員
- 日本運動器科学会 広報委員
- 東日本整形災害外科学会 評議員
- 関東膝を語る会 世話人(2022年度 当番世話人)
- Knee Surgery Conference世話人
- 膝をつつく会 世話人
- 東邦膝関節研究会/21 代表世話人
専門領域
- 膝関節外科、スポーツ整形外科、軟骨移植、バイオメカニクス
藤丸 敦樹Fujimaru Atuki
-
江戸川病院 整形外科副部長
江戸川病院整形外科副部長として、膝・股関節疾患を担当しております。
特に膝関節疾患においては1000例以上の執刀経験があり、
若年のスポーツ疾患から、高齢者の高度変形膝まで幅広く対応が可能です。日々の診療の中で、痛みはとりたいが手術加療は回避したいという患者様は多数いらっしゃいます。
そのような患者様において、PRPやSGFの関節注射は保存療法の一助になるかと思います。
保険診療内の治療で効果不十分な方は一度足を運んでみてください。
患者様の生活背景、ご要望の中から適した医療を共に探していきましょう。
専門領域
- 人工関節(膝関節・股関節)